女性のいんきんたむしは、カビの一種である白癬菌が原因で起こる皮膚の感染症です。陰部や股関節内側、お尻などの皮膚がすれやすい部分に症状がでることが多く、かゆみや発疹、水ぶくれなどが見られます。
市販薬で治療することも可能です。市販薬を選ぶ最重要ポイントは、効果が立証されている市販薬を使用することです。
女性のいんきんたむしの原因や症状、完治させるためにおすすめできる市販薬もご紹介します。
この記事の監修ドクター
自然療法医ヴェロニカ・スコッツ先生
ブラジルのリオグランデドスル・カトリック大学認定の自然療法専門医。アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得しており、専門医として自然由来のサプリメントに関する知識と精密な現代科学のデータを組み合わせて診断や治療を行っています。
いんきんたむしとは?
いんきんたむし(股部白癬)は、カビの一種である白癬菌によって引き起こされる皮膚感染症です。いんきんたむしは、股間付近の皮膚にかゆみを伴った赤い発疹が現れる特徴があります。同じ白癬菌が原因の水虫から股間へとうつってしまうこともあります。
医学的には「白癬」とも呼ばれ、原因になる白癬菌が皮膚に感染して皮膚への異常を引き起こします。白癬菌は、ジメジメした環境で繁殖しやすく、足の指に感染すると足白癬(水虫)、足の爪に感染すると爪白癬(爪水虫)、頭部に感染すると頭部白癬(しらくも)と呼ばれます。
股間部への感染は「いんきんたむし」として広く知られています。このいんきんたむしという言葉は男性のイメージがありますが、男性に限らず女性にも感染のリスクがあります。症状が進行すると、お尻から股関節内側さらに陰部に広がる可能性があるため、感染が広がらないよう皮膚の清潔を保つことが非常に重要です。
白癬菌は感染症ですから人から人にも感染します。他の人、自分自身問わず足の水虫から股付近に感染し、いんきんたむしになるなど、人体のあちこちに感染する可能性があります。発症に気づいたら他へうつらないように早めに治療することが重要です。
女性がいんきんたむしになる原因
女性がいんきんたむしに感染する最も多い原因は、感染しているパートナーからうつるケースです。
女性より男性の方がいんきんたむしに罹患しやすいため、女性が感染源となることは比較的まれです。男性側も自覚がないまま女性に感染させてしまうことがあります。
白癬菌による疾患の感染源になるのは、感染者の皮膚や感染物(感染者の靴やタオル)などです。感染は直接の接触でも感染源からの間接的な接触によっても広がります。
また、公衆トイレ、温泉・銭湯の椅子、スポーツジムなど、多くの人が共有する場所でも感染が広がる可能性があります。感染を防ぐためには、こうした場所での接触に注意する必要があります。
いんきんたむしと湿疹の見分け方
いんきんたむしと湿疹ではよく似た症状が現れます。湿疹の治療には一般的にステロイドが使用されます。
いんきんたむしを湿疹と間違えてステロイドなどを使用した場合、治らないばかりか症状が悪化してしまうことに注意してください。
いんきんたむし | 湿疹 |
円形や楕円形の赤みが現れる | 斑点やまだら状に赤くなる |
中央は赤くならないことが多い | 赤み、炎症がブツブツと広がる |
内側まで炎症が広がるタイプも少数ある | まだらに広がった、かぶれのような赤み |
病院では原因を確定するために顕微鏡で白癬菌が認められるか検査が行われます。
しかし、病院を受診する前に何かしらの薬剤を使用していると、顕微鏡検査でも白癬菌が減少している場合があり、医師でもいんきんたむしを湿疹と診断してしまうことがあります。
いんきんたむしなのか湿疹なのかはっきりしない時点で市販薬で治療を行う場合、悪化させないために「いんきんたむしにも両方に効果が認められる市販薬」を使用しましょう。
いんきんたむし(股部白癬)の主な症状
いんきんたむし、または股部白癬は、股間部分やお尻の付け根などに発生する真菌感染症で、主な症状は以下の通りです。
円形や楕円形の発疹ができ、かゆみを伴い痛みを感じることもあります
- 女性も男性も発症する部位は同じで、太ももの内側など摩擦が起こりやすい部分に発症します
- 患部の発疹は赤く盛り上がり、水疱を伴うこともあり拡大していきます
発疹とかゆみ
疼痛
性器周辺や他の部位への広がり
水疱や膿
皮膚の色素沈着
女性のいんきんたむしの治し方
いんきんたむしは、かゆみに耐えきれずにかきすぎると皮膚がただれ、色素沈着を起こすこともあります。
こんなに酷いのに本当に治るのか不安になることもあると思います。ですが、いんきんたむしは完治が可能な病気です。
病院での治療は薬物療法が基本になり、処方される薬は主に抗真菌薬のクリームです。市販の塗り薬も効果があるものはありますが、基本的には病院で処方されるもののほうが効果は高くなります。
また、いんきんたむしを治すためには、いくつかのポイントがあります。市販の薬で治療する場合は、以下のことに気をつけて治療しましょう。
- 白癬菌を殺菌除去する
- 白癬菌の繁殖を止める
- 効果がある薬を選び、完治するまで毎日継続して塗り続ける
いんきんたむしを治すおすすめの市販薬
病院で行われるいんきんたむしの治療は、主に抗真菌薬の外用薬が使用され、2週間程度塗布を続けます。
いんきんたむしの市販薬も多くの種類があります。病院へ行かずに自宅で治療する場合、効果が立証されている薬を使用することが最も重要です。
また、いんきんたむしは再発しにくいと言われていますが、再発しないためには症状がおさまってきたと感じても、しばらくは治療を続けることが肝要です。
女性のためのいんきんたむし市販薬
ドクターズチョイス ファンガクリーム
市販のいんきんたむしの薬は、湿疹やかゆみ、赤みを抑えるだけですが、「ドクターズチョイス ファンガクリーム」は、「ティーツリーオイル」などの11種類の有効成分が作用し、いんきんたむしの原因である真菌を99.9%殺菌します。
含有されるのは全て自然由来の成分です。いんきんたむしの症状が現れているデリケート部分にも安心して使用できます。
ドクターズチョイス ファンガソープEX
極めて殺菌力の高い「ティーツリーオイル」を配合しており、いんきんたむしの原因である真菌や細菌も退治します。
ドクターズチョイス ファンガクリア
いんきんたむしの治療では、他へ白癬菌を広げないためにも原因になる白癬菌の増殖をストップさせる必要があります。
「ドクターズチョイス ファンガクリア」は、真菌(カビ)と戦うための5種類の天然ハーブを配合しており、悪玉菌を体内からやっつけるサプリメントです。
いんきんたむしの予防
いんきんたむしの予防だけではなく、治療期間にも同様に気を付けておくべきことをご紹介します。簡単にできることばかりですので、普段から予防する習慣をつけておきましょう。
股部や陰部を常に清潔にしておく
いんきんたむしの予防の基本は、股部や陰部をできるだけ清潔にしておくことです。
感染しないためには清潔が重要ですが、膣の部分の洗いすぎには注意する必要があります。洗いすぎてしまうと、膣に存在しているカンジダ菌に対抗する乳酸菌まで洗い流してしまいます。
カンジダ菌が増殖するとカンジダに感染する可能性が高くなってしまいます。膣の周りだけしっかり洗うように気をつけましょう。
生理の時にはナプキンをこまめに変えることも大切です。温度が高い環境は、白癬菌の温床になります。
感染原因になる性行為には特に注意
性行為は、いんきんたむしに感染する確率が高くなりますので、パートナーが感染している場合は、性行為は厳禁です。
普段でも避妊具を必ず使用することで、いんきんたむし以外の病気の予防にもなります。
通気性がよい下着や衣類を使う
通気性が悪い下着や衣類は、いんきんたむしになる原因のひとつです。通気性がよくできるだけゆったりとしたものを選ぶようにしましょう。
公衆浴場での感染に気をつける
公衆浴場のイスは不特定多数の人が裸で座りますので、感染する可能性が高くなります。使用する前によく洗うか、直接触れないようにしましょう。公衆浴場を利用する時は、いんきんたむし以外にシラミの感染にも気をつけましょう。
シラミは、同じ浴槽に入ると感染することがあります。浴槽から上がったらシャワーで入念に洗い流すと感染リスクが低下します。
女性がいんきんたむしと間違える陰部の症状
陰部のかゆみは、下着の蒸れが原因の場合がありますが、いんきんたむし以外に陰部にかゆみがでる疾患があります。
膣トリコモナス症
トリコモナス感染症は、原因となる微生物である「トリコモナス」によって引き起こされる性感染症の一種です。女性は膣や膀胱に炎症が生じ、様々な症状が現れます。
トリコモナス感染症の原因
- 感染原因: トリコモナスと呼ばれる原虫に感染
- 感染経路: 主に性行為によるが、便器などからも感染の可能性がある
トリコモナス感染症の症状
膣内炎症
- 多量の黄色のおりもの
- 泡状のおりもの
- 魚のような臭いがする
激しいかゆみ
- 膣内が「熱い」と感じるかゆみ
- 外陰部が赤くただれてヒリヒリ
排尿時の不快感
- 排尿時に沁みて痛みが生じる
- 少量の分泌物
トリコモナス性感染症は、自覚症状がない場合でも他者に感染を広げる可能性があるため、適切な検査と治療が不可欠です。医師の指示に従い、早期発見と適切なケアを行うことが重要です。
毛ジラミ症
毛ジラミ症は、感染症の一種で、シラミと呼ばれる虫が陰毛に寄生することで引き起こります。肌荒れはないものの、かゆみが非常に強いため、掻いてしまって傷ができることがあります。
毛ジラミ症の原因
- 主な感染経路は性行為による直接の接触で、タオルや寝具を介しても感染することがある
- 毛ジラミは48時間程度は生きていけるため、物を介しての感染が起こる可能性がある
毛ジラミ症の症状
- 強いかゆみが主な症状で、掻くことにより湿疹や傷ができる可能性がある
- 陰部に褐色の虫を見ることができたり、寄生した部分には毛ジラミの卵が見られる
- 肛門周辺の毛にも寄生する
陰部や脇毛、胸毛、髭、眉毛など、毛がある部分に感染することがあります。頭髪にも寄生することがありますが、アタマジラミと毛ジラミは異なる種類のシラミです。
性器クラミジア
性器クラミジアは、性的な活動が活発な若年層に多く、特に29歳以下の女性では男性を上回ります。無症状または軽度な症状が一般的で、感染しても自覚症状がないことがほとんどです。
性器クラミジアの原因
- 成人では主に性行為により感染し、新生児の場合、母親からの産道から感染する
- 口腔性交で咽頭への感染するケースがある
性器クラミジアの症状
- 無症状または軽度な症状が一般的
- 膣や尿道、肛門に痛みや異物感、排尿時の痛みなどが現れることがある
- 特に女性は感染しても自覚症状がほとんどなく治療に至らないことがある
クラミジア・トラコマティスという菌が性器の粘膜に触れることで感染し、特に女性は感染しても自覚症状がほとんどなく治療に至らないことが多くあります。
性器ヘルペス
いんきんたむしと性器ヘルペスは、異なる病態を持つ感染症ですが、いくつかの共通点もありますが、原因も治療法も違うことに注意してください。
性器ヘルペスの原因
- 単純ヘルペスウイルス(HSV-1またはHSV-2)による感染
- 性的な接触が主な感染経路であり、口腔性交も感染のリスクがある
性器ヘルペスの症状
- 女性の場合、膣周辺や肛門、口唇などに感染が広がる可能性がある
- 性器やその周囲に水疱や潰瘍が形成される
- 初発時は重篤な症状があり、再発時は軽症になる傾向にある
いんきんたむしと性器ヘルペスは、共にかゆみや不快感が症状として現れることがあります。患部のかゆみは、どちらの感染症でも特徴的な症状です。
いんきんたむしは何科を受診する?
いんきんたむしの症状が疑われる場合、女性も男性も皮膚科の受診が一般的です。女性の場合には婦人科・産婦人科を受診する選択肢もあります。また、何の疾患なのか全く検討がつかない場合も婦人科・産婦人科で対応可能です。
もしパートナーにも症状が出ており病名がはっきりしていれば別ですが、陰部のただれの原因として性感染症が少なくないことがあります。いんきんたむしに似た病気での一例として「カンジダ」が存在します。カンジダも婦人科・産婦人科での診療が可能です。
もしカンジダに罹患していることがはっきりしているのであれば、性感染症を専門とする医療機関への受診を考慮しましょう。病院の診察では患部の一部を採取し、顕微鏡で白癬菌の有無を検査します。
いんきんたむしはデリケートゾーンの病気です。病院に行くべきだがどうしても恥ずかしいという方もいらっしゃると思います。
電話やホームページで女性医師が在籍しているのか確認するのもひとつの方法です。
自宅で治したい場合、効果的ないんきんたむしの薬を使えば、完治可能です。
ファンガクリームのユーザーレビュー
いんきん、水虫で、お風呂上りに使用していますが、以前は市販のクリームを使用しても一時的によくなるだけでしたが、このクリームを使用してからは全然といっていいくらいかゆみがなくなりました。これからも使用を続けていきたいと思います。
ファンガソープEXのユーザーレビュー
デリケートゾーンの湿疹、痒み。秋頃からデリケートゾーンの乾燥、湿疹、疹みに悩まされ、保湿、かゆみ止め、オイル、あげくはいんきんかと悩み、ラミシールにまで手を出したが改善されず…。評価のよさに半信半疑でこちらを使わせて頂き1ヵ月程でかなりよくなりました。膀胱炎にもなりにくくなったような気がします。使い続けようと思います。
ファンガクリアのユーザーレビュー
デリケートゾーンのかゆみ、水虫でんでいます。ぬり薬だと、かゆみのある所以外に効いているのか分からないので、体全体の予防や免疫力を高められたらと思い飲んでいます。ストレスを感じた時や食べ過ぎたと思う時にでていたかゆみが、これを飲んでからは全くありません。とても助かってます!!
いんきんたむし以外の白癬菌疾患
白癬は人体のあちこちで発症する可能性があります。白癬菌という同じ菌が原因ですが、発症部位で呼び方が変わり、症状にも少しの違いがあります。
手白癬
手白癬(てはくせん)は手のひら、指、指間などの白癬菌による感染症であり、爪が感染すると爪白癬と呼ばれます。
足の水虫を手で触って感染することが最も多い感染経路ですが、手は洗う機会が多いため白癬菌が付いても感染まで至ることは稀です。他の白癬菌の感染による疾患に比べると感染の確率は低くなります。
他の白癬菌による感染も同じですが、手に傷があったり免疫力が低下していると白癬菌が入り込みやすくなってしまいます。
手白癬の症状は、水ぶくれができたり、皮が剥け落ちたり、赤味のある腫れが生じたりします。かゆみはさほどひどくありません。
抗真菌成分を含む水虫治療薬で効果的に治療できます。
足白癬
足白癬はいわゆる水虫と呼ばれる疾患で、多くはくるぶしより下の方に発症します。部位や症状によって以下の3つの型に分かれます。
小水疱(しょうすいほう)型の水虫
足の側面や裏側に小さい水ぶくれ、水疱ができます。小水疱型の水虫は、かゆみが激しいという特徴があります。
激しいかゆみのため、強くかきむしってしまうことで、水疱が潰れてしまうこともあります。水疱を潰してしまい、感染が他へうつってしまうケースもあります。
趾間(しかん)型の水虫
趾間型の水虫は足の指と指の間に発症します。激しい痒みが特徴的な症状です。指の間に赤みが出たり、皮が剥け落ちたり、ひび割れを起こしたりという症状が生じます。
症状が進行すると、皮が硬くなってウオノメのようになり、かゆみだけではなく痛みが出ることもあります。
角質増殖型の水虫
足裏の角質全体が分厚くなり角質が乾燥して白い粉を吹いたような状態になります。
かゆみはあまりありませんが、かかとの部分がひび割れたりすると痛みを伴うことがあります。
角質が分厚くなっているため治療薬を塗っても浸透しにくく、治療期間は長くなり2〜3ヶ月ほどかかります。
爪白癬
爪白癬は、主に足の爪に起こる水虫です。爪が白色・黄色・黒色などに変色したり、爪が厚くボロボロと崩れやすくなります。
最初は一本の爪から症状が出始めかゆみをあまり感じることがありません。爪白癬の症状が進行していない場合は外用薬での治療が行われますが、進行してしまうと内服する処方薬での治療が必要になります。
体部白癬
体部白癬は俗にいうぜにたむしと呼ばれている疾患です。体部(頭、手のひら、股部、足の裏以外)の他、腕、脚などに、強いかゆみを伴った発疹が現れます。
足の水虫からぜにたむしへ白癬菌が広がり罹患するケースが多く、全体の白癬疾患での割合は高くありません。
頭部白癬
白癬菌が頭部で発症するものは頭部白癬と言われます。俗称は「しらくも」です。
白癬菌が髪の毛にうつり発症します。脱毛やフケのような皮膚片が見られます。かゆみはあまりありません。
かゆみなどの症状もあまりひどくないため、治療までの見過ごされている期間が長くなる場合が多く、その間に知らず知らずに他の人へうつしてしまうことがあります。
Q&A
女性のいんきんたむしはどこにできる?
A: 女性のいんきんたむしは、主に太ももの内側や陰部、股関節内側、お尻など、皮膚がすれやすい部分に発症することが一般的です。太もも内側の付け根や性器周辺、下腹部、臀部などに症状が現れます。
女性のいんきんたむしの症状は?
A: 女性のいんきんたむしの症状は、股部の周りに円形や楕円形の発疹ができ、かゆみを伴い痛みを感じることがあります。患部の発疹は赤く盛り上がり、水疱を伴うこともあり拡大していきます。
いんきんたむしは放置して治りますか?
A: 基本的に治療が必要な疾患です。放置して治るケースが全くないわけではなく、清潔を保って自然治癒する場合がありますが、本当に稀なケースです。
いんきんたむしは女性の場合は何科を受診すればよい?
A: 女性の場合、いんきんたむしに関しては皮膚の領域ですので皮膚科が一般的です。デリケートゾーンの疾患ですので、どうしても抵抗がある場合は、女医さんが担当される病院を選びましょう。婦人科または産婦人科での受診も可能です。他の性感染症の疑いがある場合は、性感染症を専門とする医療機関も考慮しましょう。